マドラス風チキンカレーと南インドのスープ「ラッサム」、それにチャイ/スパイスを駆使。辛みと酸味と甘さが口の中に広がる(撮影/写真部・堀内慶太郎)
マドラス風チキンカレーと南インドのスープ「ラッサム」、それにチャイ/スパイスを駆使。辛みと酸味と甘さが口の中に広がる(撮影/写真部・堀内慶太郎)
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 暑くなってくると無性に食べたくなるニッポンの国民食「カレー」。いつもの味を、時にはちょっと変えてみたくなる。本格スパイスに隠し味に。“よそ様のカレー”ってどんなの?

 ことのはじまりは「アホカレー」だった。4年ほど前、アホのようにしょうがを入れて作るカレーのレシピが、ネットで話題を呼んだ。

「試しに作ってみたら、これが思いのほかおいしかったんです。カレールウの味わいが生かされつつ、爽やかで。夏になると食べたくなる味です」

 そう語るのは久川真吾さん(36)、郷田まり子さん(35)夫妻。2人で、遺伝子関連のハードウェアやコンピューターソフトの開発を手がけるベンチャー「鳥人間」を営んでいる。アホカレーをきっかけに、カレーをカスタマイズする面白さに目覚めた。

 取材の日、まり子さんがふるまってくれたのは約10種類のスパイスが入った、マドラス風チキンカレーと南インドのスープ「ラッサム」。それにチャイ。

 ハラールショップで購入したという、長粒のバスマティライスをさっそくサラサラしたカレーにからめてみると……辛みと酸味が口の中にドコドコ来訪。と、思いきや次の瞬間、ココナツミルクの甘みがそっと優しく包んでくれた。唐辛子が丸ごと入ったスープ「ラッサム」はトマトベースの直線的な辛さ。カレー、スープ、チャイのトライアングルをグルグルしているうち、次第に体は汗ばみ、ジワジワ、ピリピリの合間を埋めるように食卓は饒舌になっていった。

●無限のアレンジ

 いつもこんな本格的なカレーを? 真吾さんは言う。

「スパイスから作るカレーって一見難しそうなイメージがありますが、実はそうでもない。基本として押さえるべきスパイスはクミン、コリアンダー、ターメリック、チリペッパー(唐辛子)の四つ。調理時間も30分程度ですみ、実は手軽です」

 スパイス使いの勘どころは、20種類のスパイスが小袋に入った「GABAN 手作りのカレー粉セット」や『おうちで本格インドカレー』(東京書籍)を参考に作るうちにつかんだ。

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