独自レシピを含む最初の著書は、『橘田いずみのザ・餃子』。実に4万個以上食べてきたという餃子に惜しみなく愛を注ぎ、「一過性のブームにはしたくない」と言う。
「ネギは思い切り力を入れて搾ります。ここは日頃のストレスをぶつけて、会社の上司とか、嫌いなあいつのことを思い出して、はいギューッ!」
そんな説明に会場が沸き、約30人の参加者がザルに入ったネギをいっせいに搾り始める……こちら、声優の橘田(きった)いずみさんの餃子教室、その名も「橘田いずみの餃子教室 みんなでねぎ汁絞ろうよ」だ。
声優と餃子とねぎ汁。いったいどんな関係が? まず橘田さんは、「餃子研究家」の肩書も持つ人気声優。それも今はやりのぽっと出“餃子女子”とは一線を画す、真の餃子愛好家としてその名をとどろかせている。たとえば、餃子歴の長さ。
「2歳のときに初めて口にして以来、餃子のとりこになったようなんです。小さいときは私、お茶わんを持ってなかった。ひたすら餃子だけを食べていたので、ご飯のお茶わんなんて必要なかったんですよね」(橘田さん)
今も「一日に1食は必ず餃子」というほどの餃子食い。冷凍庫には常にお取り寄せ餃子や、手作りした冷凍餃子数百個をストックし、宇都宮の有名店に弟子入りして秘伝の味付けを学ぶなど、研究だって怠らない。
そんなたぐいまれな餃子愛が広く知られるようになり、現在は「宇都宮餃子PR特命アンバサダー」としても活躍する。餃子の都・宇都宮では、街のあちこちで彼女の等身大ポップやポスターに出くわすことも多い。
そしてその橘田さんが満を持して初めて開いた餃子の料理教室が、冒頭の「ねぎをギューッ」。餃子のレシピ本も出している橘田さんが、参加者と一緒に餃子を作って食べる。ファンとの交流のための大規模な「ギョーパー」とも言えそうだ。
●暗黒の時代が続いた
ちなみにこの日、参加者と一緒に作ったのは、彼女の十八番「手羽先キムチ餃子」と「きゅうりの水餃子」の2種。「ねぎ汁」とは、餃子のあんに混ぜ込むネギの搾り汁のことで、できあがりの風味とジューシーさを格段にアップさせる、橘田さん定番の餃子隠し味となっている。