朝日新聞社が6月22、23の両日、全国の有権者を対象にした調査や取材で得た情勢分析によると、民進、共産などの野党4党が全国32の1人区全てに統一候補を立てたことで、自民候補と互角以上に戦う選挙区も少なくない。だが、改選議席では「自公は過半数(61)を上回る勢い」で、「自民1強」を打ち崩すまでには至っていない。

●伸び悩む民進党

「暗澹たる気分ですよ」

 2009年の民主党政権誕生に尽力し、参院選の野党共闘確立にも奔走した法政大学の山口二郎教授の嘆きは一層深い。

「安保関連法可決の際、安倍政権はおかしいと思った人たちは今、何を考えているのか」

 民主、維新両党が合流し、民進党が発足したのは今年3月。参院選を見据え、世論に「刷新」イメージを浸透させる狙いもあった。だが、民進党発足後も政党支持率は伸び悩んだままだ。

 一方で、安倍政権も個別の政策に関しては有権者の評価が高いとは言えない。

 先の朝日新聞情勢調査と同時に行われた世論調査で、安倍首相の経済政策について尋ねると、「成功している」は4%、「どちらかといえば成功している」は42%で計46%。「失敗している」は12%、「どちらかといえば失敗している」34%の計46%と拮抗。また、安倍政権のもとで憲法改正を実現することへの賛否を尋ねたところ、賛成は31%で、反対の48%が上回った。

「政策争点のアンケートと投票行動は完全に切り離されています。今までの投票行動のパターンでは説明がつきません」(同)

 イギリスのEU離脱を問う国民投票について、「とにかく現状を変えたいという漠然とした思いの反映で、大阪の橋下現象と似た現象が国家レベルで起きた」と分析する山口教授。今の日本はむしろ逆で、安倍政権支持は「変えたくない意思」の反映だと見る。しかし、「3分の2を確保すれば憲法を変えてくるのは確実なわけで、そのことが有権者の間でまだ現実的な危機感にはなっていない」(同)のが問題だと捉えている。

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