日本バドミントン協会は事件後、茶髪や華美なアクセサリー、海外での合法カジノへの出入り禁止を検討中。「抑圧することでは解決できない」「ズレている」との批判も (c)朝日新聞社
日本バドミントン協会は事件後、茶髪や華美なアクセサリー、海外での合法カジノへの出入り禁止を検討中。「抑圧することでは解決できない」「ズレている」との批判も (c)朝日新聞社
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AERA2016年4月25日号から
AERA2016年4月25日号から

4カ月後の金メダルに手が届きかけていたバドミントン選手が、まさかの転落。プロ野球だけでなく、一流アスリートが簡単にわなに落ちるのはなぜなのか。(ライター・島沢優子)

 バドミントン男子日本代表としてリオ出場が確実視されていた桃田賢斗選手(21)とロンドン五輪に出場した田児賢一選手(26)が東京都内の違法カジノ店で賭博をしていた問題で、所属先のNTT東日本が4月8日に開いた記者会見。テレビのニュースでは「桃田は日本の宝。もう一度チャンスを」と田児選手が号泣した場面がクローズアップされたものの、実は会場がやや白けた空気に包まれた時間があった。

 賭博をすることにためらいはなかったかという最初の質問に、田児選手がこう返したのだ。

「自分が言うのもなんですが、桃田の今の結果を見てもらえればわかるとおり、そういうこと(賭博)はしていましたが、そういうことを中心に生活をしていたら、今の桃田の結果は絶対にありません!」

 その後は謝罪を繰り返し、受け答えも総じてハキハキとしていた。桃田選手を含む部員7人を誘って違法カジノ店に60回程度通ったこと、部員仲間に1150万円もの借金をしたことなどを明らかにした。何か吹っ切れているふうでもあった。

●事の重大さを受け止めきれず

 そんな田児選手とは対照的に、店に6回行ったという桃田選手は叱られた子どものようにうなだれ、「バドミントンが充実していて集中しているなかで、意識していなかったところからこうなって……」と消え入るような声で話した。五輪直前に金メダル候補が出場見送りになる前代未聞の事件を、誰より桃田選手本人が受け止められない様子が見て取れた。

 2人とも、日の丸をつける一流アスリートどころか、社会人として幼さや感覚のズレを感じざるを得なかった。

 東京オリンピック・パラリンピック開催を4年後に控え、スポーツ選手の不祥事が続く。

 昨秋から巨人の4選手が野球賭博で相次いで処分されたうえに、数年前から覚醒剤使用のうわさがあった元プロ野球選手の清原和博被告(48)が、所持の疑いで現行犯逮捕された。ここまでは、年俸の高いプロ野球だけの話かと思いきや、次はどちらかといえばマイナー種目だったバドミントン。桃田選手が約3年で賞金2700万円を手にするなど、意外に「稼げるスポーツ」であることが、関係者の本意でない形で注目を集めてしまった。

 なぜ、一流スポーツ選手らは道を外してしまったのか。

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