熊本県益城町では昔ながらの木造家屋に2世帯で住む家庭も多く、被害が大きくなった。ある被災者は「断層が通っているとは聞いていたが、気に留めたこともなかった」と話した/4月15日午後(撮影/編集部・作田裕史)
熊本県益城町では昔ながらの木造家屋に2世帯で住む家庭も多く、被害が大きくなった。ある被災者は「断層が通っているとは聞いていたが、気に留めたこともなかった」と話した/4月15日午後(撮影/編集部・作田裕史)
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 4月14日夜に九州一円を襲った最大震度7の「地震」は、活断層の恐怖を改めて知らしめた。私たちの「備え」が問われている。

 地震から一夜明けた4月15日。東京から福岡空港へ飛び、レンタカーを借りて現場をめざした。度重なる渋滞を乗り越えて、熊本県益城(ましき)町の中心部まで約2キロに達したとき、それまで見えていた景色が一変した。幹線道路沿いに、屋根の瓦がはがれ落ちた家、壁に亀裂が入ってひしゃげた家、石垣が道路に横たわるように崩れ落ちている家などが、次々に目に飛び込んでくる。

 この道路沿いに住む83歳の女性は、家じゅうに散乱したガラスの破片や壊れた家具を片づけながら、こうつぶやいた。

「タンスとかを留めていた地震対策のストッパーなんて、何の役にも立たない。全部吹き飛んで、倒れてきた。避難所にも行ったけど寒くて、とても寝られない。昨日は車の中で寝ました」

 1階の寝室でベッドに横たわってすぐ、激しい振動に体が揺さぶられた。縦揺れとか横揺れとか、そんなことを感じる暇すらなかった。部屋中のあらゆる物が降ってくるなか、パジャマのままで外に飛び出した。見ると、庭を囲っていた土塀がない……。無残なまでにボロボロと道路に崩れ落ちていた。

「家を建てたのは40年前。地震なんて想像していないから、特別な工事はしていません。せめて(地震)保険に入っていれば……。気が滅入るわね」

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