●党サイトに自伝 妻との交際も
昨年の総選挙は、08年にバラク・オバマが勝利した米大統領選挙の興奮を想起させた。実際、トルドー陣営には、オバマの選挙スタッフ経験者が2人、採用されていた。
オバマは『マイ・ドリーム バラク・オバマ自伝』などの著書で、自分の生い立ちや思想を有権者に知らせたが、トルドーは自由党のウェブサイトに、政治家とは思えない開けっぴろげな自伝を載せた。妻となったテレビキャスター、ソフィー・グレゴワールをデートに誘うのに苦労したことや、父親ピエール・トルドー元首相の墓前でプロポーズしたことまで書いている。
30歳で教職を離れると、オバマと同じように環境問題やコミュニティーサービスをめぐる活動に入った。教育、環境、経済をとりまく状況について、若い有権者が自分たちの声を代表する人物を待望していることに気づく。
「世代交代による変化が近づいているのを感じた。それは、新たな可能性を開くかもしれないものだった」(自由党ウェブサイト)
●特別な時期には特別な党首を
08年の下院選挙に出馬したが、スタッフは当初、妻のみ。食品ストアの駐車場で看板を持って支持を訴え、初当選を果たした。だが、政権の座を長年占めていた自由党はすでに下野しており、11年の下院選ではさらに議席を減らして第3党に転落した。結党以来の危機。トルドーは政界入りからわずか5年後の13年、「保守党のハーパー政権下では、取り残されている国民がたくさんいる」と訴え、党首選に立候補した。有力な対抗馬だったカナダ人初の宇宙飛行士が、
「特別な時期には、特別さを感じさせる党首が必要だ。トルドーにはそれがある」
と出馬を辞退。結果はトルドーの圧勝だった。