消費者に企業イメージを浸透させるため、各メーカーは白物家電に力を入れてきた。量販店の売り場には今も各社の製品が競うように並んでいる/東京・新宿 (c)朝日新聞社 (撮影/平林大輔) 
消費者に企業イメージを浸透させるため、各メーカーは白物家電に力を入れてきた。量販店の売り場には今も各社の製品が競うように並んでいる/東京・新宿 (c)朝日新聞社 (撮影/平林大輔) 
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 国内の家電業界で、にわかに再編の動きが加速している。「過当競争」とされてきた各メーカーの国際競争力回復につながるのか。

「シャープとの再編は、選択肢の一つですけれども……」

 昨年12月7日、東京都港区の東芝本社。39階の大会議室に集まった記者やアナリストを前に、室町正志社長が、白物家電の「再編構想」を淡々と表明した。国内家電大手で「再編」が大きく動き出す、事実上の号砲が鳴った瞬間だった。

 今回の家電再編の引き金を引いたのは昨年、世間を騒がせた東芝の不正会計問題だ。東芝が08年4月から14年12月までに税引き前利益で、2248億円を水増ししていたことが判明。歴代3社長や取締役など複数の役員が責任をとって辞任する事態になった。

 さらに、リストラ費用を積み増したことにより、16年3月期は純損益が過去最悪の5500億円の赤字となる見通しに。液晶事業の不振で赤字が続くシャープと並ぶ、業界の「負け組」に一挙に転落した。

 特に冷蔵庫や洗濯機などの白物家電やパソコン、テレビは、改革が遅れて赤字だったことに加え、利益の水増しで赤字を少なく見せていたことが判明。昨年7月に緊急登板した室町社長にとって、家電の改革は急務になっていた。

 家電部門のリストラ策を発表したのは昨年12月21日。「家電部門の構造改革を断行しないと、再生の道筋は閉ざされる」と室町社長は力を込めたが、その内容は中途半端にもみえる。「レグザ」のブランドで知られる液晶テレビは、16年度の販売台数を14年度の9分の1の60万台に縮小する。家電量販店で売られる東芝製品は大幅に減るとみられるが、販売自体は企業向けを中心に続けるという。生産拠点についてもインドネシアの工場は売却するが、一部は国内に残すことにした。

 パソコンや白物家電についても「他社との事業再編を視野に入れる」とし、中国やタイにある生産拠点の再編については、具体的な方法は示さなかった。

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