「ナヨナヨしていた理系の兄が、ずいぶんと変わってカッコよく見えたらしいんですよ」

 弟も防大受験を決めた。 もちろん、自衛官としての誇りや責任感は持っているつもりだが、ことさら「国に尽くそう」という気負いはない。

「仕事としてやるべきことをやっていく。そのための能力や経験を積んでいきたい」

 9月に成立した安全保障関連法制の審議で議論になった「自衛官のリスク」。

「高まるか高まらないかは、まだわからない。まあ……(立場が)上の人たちの“政治的なリスク”はあるんじゃないですか」と、まだピンと来ない。

 自衛隊にはさまざまな職種がある。戦争、災害、どんな状況でも「自己完結」を是とするためだ。戦車の操縦士に医師、パイロット、機動救難士、整備士、経理、そして研究者も。

 だから、今も勉強は欠かさない。通勤時には理系の専門書から歴史の本まで何でも読むが、何を専門として研究していくかは、まだ決めていない。

AERA 2015年11月16日号より抜粋