「週に2回はエステや整体、サイキック系などいろんな所に通いました。月に10万~12万円くらいは費やしていたと思います」

 しかし、体調は良くならなかった。やがて銀行のメイン業務であるオペレーション部門へ異動。行員生活8年のうち、最も激務の1年を過ごした。トイレに行く時間もランチを食べる時間もない。朝は9時、10時、11時……というデッドラインに追われて席を立つ余裕すらなく、夜はデータの後片付けなどで、会社を出るのは22時、23時が当たり前。遅いときは深夜2時になることもあった。

 ほおはこけ、体重は10キロ減。友達から「体が半分になった」と言われ、顔つきもかなりキツくなっていたという。

辞める決心をしたのは、上司との面談で、「上を目指してください」と言われたことだった。「無理です」と即答できた。「私が金融に向いていると勧めてくださったのですが、数字に追われ、時間に追われ、怒られながらも頑張る同僚を見ていると、私にはそこまでできないと。金融の仕事が嫌いだったわけではないんですが、私のいる所ではないと感じるようになりました」

 もう一つのきっかけとなったのが、同僚の死だ。その年の4月まで一緒に働き、ご飯を食べていた同僚が8月に亡くなった。がんだった。「自分の人生を生きよう」と思った。

 その数年前、ロミロミに出合った。疲れ過ぎて長期休暇でハワイに行った時、ロミロミのプログラムを学んだ。あまりの気持ち良さに、自身でもできないかと興味を持った。そのうち自分で人を癒やしたいと、日本で仕事をしながら施術を学び、休暇になればニューヨークでヒーリングなども学んだ。

 そんな下地があったため、会社を辞めた後は、ロミロミで人を癒やそうと決めた。周りを見ても「どうしてこんなに疲れているの?」と思うほど、みんなが疲れていた。

「心と体、魂レベルでサポートしたいと思っています」

AERA 2015年11月9日号より抜粋