アエラにて好評連載中の「ニッポンの課長」。
現場を駆けずりまわって、マネジメントもやる。部下と上司の間に立って、仕事をやりとげる。それが「課長」だ。
あの企業の課長はどんな現場で、何に取り組んでいるのか。彼らの現場を取材をした。
今回はミサワホームの「ニッポンの課長」を紹介する。
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■ミサワホーム 商品開発本部 商品開発部 木質デザイン課 課長 仁木政揮(42)
数ある職業のなか、なぜ家をつくる仕事に就いたのだろう。ミサワホーム商品開発本部の仁木政揮は、自らが企画・設計を手がけたモデルルーム「GENIUS 蔵のある家(防災・減災デザイン)」で記憶をたどっていた。
あれは小学生のころだった。住んでいた家を建て替えることになり、仮住まいの隣家から一部始終を見ていた。
「木材をカンナで削って、釘などを使わずに家を建てていく。2人の職人による在来工法という名のオールハンドメイドで家を建てていく。茶の間の欄間なんかも、その場でつくりあげるんですよ」
ものづくりは、カッコいい。京都精華大学のデザイン学科建築専攻を出て、1995年、ミサワに入社した。
現代の家づくりは、木製パネルを組み合わせる2×4工法が主流だ。しかし、いま手がける家にも「創意工夫はある」と胸を張る。
仁木のいる場所は大収納空間の「蔵」。ミサワが発明した構造だ。季節の物や本、衣類などを収納でき、ロフトと違って荷物の出し入れも楽だ。自治体にもよるが、一般的に蔵は床面積に算入されず、3層の家を2階建てとして建築できる。まさに空間革命だ。
災害リスクへの備えも抜かりない。「木質パネル接着工法」は、床、壁、屋根の各面の接合を工夫することで、地震や風など外からの強い力を面全体で受け止める。これは航空機や自動車で使われる「モノコック構造」の原理だ。ミサワは長年、南極の昭和基地建設を担ってきたが、ここでもその技術が採用されている。
家には、人とのつながりも大切な要素。家族がくつろぐリビングとは別の、人を迎える「コモンズリビング」を提案している。
「来客時のもてなしはもちろん、趣味つながりのイベントにも使える。社会とつながるパブリック空間です」(文中敬称略)
※本稿登場課長の所属や年齢は掲載時のものです
(編集部・岡本俊浩)
※AERA 2015年7月20日号