パロセラピー効果が高いとして、米国では医療機器として承認されている。手作りのため表情が微妙に違うところが人気の理由※登録商標=知能システム(撮影/今村拓馬)
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パロ
セラピー効果が高いとして、米国では医療機器として承認されている。手作りのため表情が微妙に違うところが人気の理由※登録商標=知能システム(撮影/今村拓馬)
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 介護の現場を支えるべく、近年様々なアイテムが登場している。そのひとつとして、愛らしい容姿で人々を癒す介護ロボットが注目されている。

 ふわふわした毛に、くりくりした瞳。「いい子だね」と頭をなでると、こちらを向いて「キ
ュウー」と鳴きながら寄ってきた。なんて愛くるしいんだろう。

 アザラシ型ロボットの「パロ」(36万円=税別、以下同)だ。人工知能を搭載し、ペットと同じようになつく。アザラシを選んだのは、丸い体でかわいくデザインできるのに加え、イヌやネコのように好き嫌いがはっきり出ない特性も考えたそうだ。

 10月上旬、東京ビッグサイトで開かれた「第42回国際福祉機器展2015」の会場は、国内外522社の最新介護機器を見ようという人であふれ返り、3日間の入場者数は約12万人に達した。

 主催した保健福祉広報協会によると、今年出展が目立った機器の使い道は、二つのキーワードでくくれるという。「認知症」と「在宅」だ。

 パロも単なるペットロボットではない。

「パロはセラピーロボットでもあるんです。世界で3千体ほど活躍していますが、相手とコミュニケーションを取ることができ、認知症の方の心を穏やかにするという効果も出ています」と大和ハウス工業ロボット事業推進室長の田中一正さん。

 高齢者向け住宅を運営するオリックス・リビングの「介護に関する意識調査」(14年)によると、回答した40歳以上の男女1238人の約7割が介護ロボットに肯定的。理由は「気を使わないから」が半数を超えた。今後、パロのようなロボットが介護現場で活躍することは間違いない。

AERA  2015年11月2日号より抜粋