スポーツの秋、マラソンを楽しむ人も多いのでは。レースに臨むなら、食事の面でも準備を整えたい。高橋尚子を支えた元「チームQ」の管理栄養士に聞いた。
レースに出たことがあるランナーなら、「カーボローディング」という言葉を聞いたことがあるだろう。
カーボはCarbohydrate、すなわち炭水化物(糖質)、Loadingは「貯蔵する」という意味で、運動時のエネルギーとなるグリコーゲンを体にため込むことが目的だ。炭水化物は消化吸収されたあと、肝臓と筋肉にグリコーゲンとして蓄積される。
それってプロの選手や本格的なランナーがやるんでしょ、と思っていませんか?
「ビギナーだからこそ、食事の力も借りてしっかり準備をしておきましょう」とアドバイスするのは、高橋尚子選手のチームQなどで管理栄養士を務めた新生暁子さん。
90分以上継続して行う競技では、カーボローディングは一定の効果を発揮するという。マラソン、サッカーなどだ。
「制限時間いっぱいの7時間程度をかけてフルマラソンを走る人は、強度は低いとはいえ、速い選手の倍程度の時間、運動を続けているわけです。私も42.195キロを歩いたことがありますが、35キロを過ぎるとやはり足が動かなくなってきます」
主流の方法は、本番3日ほど前、練習量を減らすタイミングで、米や小麦粉製品、いも類などの炭水化物の分量を増やして高糖質食にする方法だ。カーボローディングというとパスタのイメージだが、新生さんはご飯や餅、うどんをすすめる。
「パスタでもいいんですが、調理のときに油やクリームを使うことが多い。脂質が増えると消化に負担がかかりますし、総カロリーもオーバーしがちです」