加えて、歯科医師は年間1200人ペースで増え続け、10年には10万人を突破。歯科医院の数も13年の時点で6万8千軒を数え、約5万3千店と言われるコンビニエンスストアより多い。個々の歯科医の報酬は落ちていき、厚生労働省の調査から推計すると、年収800万円を超える歯科医師は多くない。

 結果、会員である歯科医師たちのために診療報酬引き上げを目指して活動することが、日歯連の「正義」になった。

 ホームページに堂々と、「政治力を強化し(中略)目的を達成させるために必要な政治活動を行い、国民医療の発展に資する」と掲げ、「政治への働きかけ」に邁進(まいしん)。歯科医師の数は医師の3分の1だが、政治団体の会費収入としては、ほぼ同額の約10億円を集める。それを元手に、政権与党に接近し、09年の政権交代後は民主党幹部にすり寄って西村議員を支援した。日歯連の元幹部は振り返る。

「いかに票を持った組織だと誇示できるかが勝負だと、真剣に選挙をやった。歯科医とその家族、従業員を確実に動員した」

AERA 2015年10月19日号より抜粋

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