技術の進歩にともない、一層多様化してきたレトルトカレー。某日、編集部でご飯を炊き、レトルトカレー20種を食べ比べる「総選挙」を敢行した。風立ちぬ、いざ開票結果をお届けする。
総選挙のルールはこうだ。全国から500種類のレトルトカレーをそろえるネットショップ「地カレー家」の6月の売り上げトップ10になった10種類と、その他話題のレトルトカレー、そして特別枠としてコンビニでも買えるナショナルブランドなどを加えた20種類のレトルトカレーをご飯と一緒に食し、「一番おいしい」と思ったもの1点を選んでもらう。それ以外にもインパクトのあったものは、自由にコメントを書いてもらった。
まず、タラバ蟹、ほたてなど、居並ぶ全国の有名食材カレーを抑えて3位に入賞したのは、その名も「18禁CURRY(チキン)」(1080円)。パッケージにも「辛すぎますので、18歳未満の方は食べないでください」というただし書きがある激辛カレーだ。
そうは言ってもレトルトだし、と甘く見たら大間違い。軽い気持ちで口にした“審査員”のうめき声があちこちで上がり、会場は地獄絵図の様相に……というのは、盛りすぎました、すみません。でも、<舌がしびれて、顔がほてって、冷や汗が止まらなくて、涙が出てくる>(コメントから)という辛さはホント。この一口で審査をやめた人も。一方で、<インパクトは間違いなくナンバーワン><辛いだけじゃなくてうまい>という声もあり、2票を集めて入賞となった。
続いて2位に輝いたのは、「地カレー家」でも年間4千箱を売り上げたことがあるという、ご当地レトルト界のキング「飛騨牛ビーフカレー」(980円)だった。永遠の憧れのビーフカレーに、しかも飛騨牛の角切りを使うという、バチが当たりそうなぜいたくさ。コメントにも、<脂の甘みが前面に><口の中はとろける和牛の香りでいっぱいに>と、素材の力を100%引き出したパワフルな味わいに、絶賛の声が相次いで寄せられた。
そして今回の総選挙で、全審査員の3分の1に当たる7票の圧倒的支持を得て、王者の座を手にしたのがこれ。「広島名産 かきカレー中辛」(540円)だ。広島の食品メーカーが販売しているもので、広島県産のかきを、ソテーしたオニオンと牛乳、バター、ココナッツで仕上げた特製カレーソースで煮込んだという、手の込んだ一品となっている。コメントも熱い。
<意外なマリアージュに感銘><かきとカレー、どちらも“立って”いておいしい!><思いがけないおいしさ。かきフライより好きかも>など、カレーとかきが手を組んで、1+1以上の新しいおいしさを生んでいるところを評価する声が多かった。
※AERA 2015年9月21日号より抜粋