「指針破り」をしにくい経団連加盟企業を中心に、「隠語」も使われた。8月1日より前に面接をする際は、「ジョブマッチング」「面談」といった言葉が使われたのだ。瞬く間に学生に広がり、マイナビが7月末から8月頭にかけて行った調査では、「ジョブマッチング」を知っている院生の91.5%、学部生の72.2%が面接のことだと理解していた。

「OB訪問会」「質問会」などの派生バージョンも登場。「これは面接なのか?」と学生を混乱させる一因となった。損保大手に内定した慶應義塾大4年の男性(21)がたどったルートは、「エントリー→面接」ではなく、「知り合った社員経由のOB訪問を2回→6月に人事部との『面接練習』→8月1日の意思確認」。

「電話では『握手の準備をしろ』という趣旨のことを言われたが、正直、どのタイミングが『面接』で、いつ自分が『内定』の判断をされたのか、わからずじまいでした」

 人事に詳しいHR総研主任研究員の松岡仁さんは言う。

「本当に8月1日に面接を始めた企業も中にはありますが、基本的には、内定者が他社の選考を受けずに自社に来るかどうかを確認する『踏み絵』の日だったと考えていいでしょう」

 バブル期には、内定者を遊園地や研修施設に缶詰めにするなどの内定者拘束が行われた。当時ほどあからさまでないが、企業は今年も、「内定者研修」「内定者インターン」などギリギリのラインを探りつつ、拘束を強めている。

AERA 2015年9月7日号より抜粋

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