「僕らって、普段から服屋に行って、音楽を聞いて、あれカッコいいとか、ダサイとか言うわけじゃないですか。でも社会運動だけは聖域で、ダサくてもしょうがないってのはおかしい」
10代、20代が持つデフォルトの感性を形にしたのが、SEALDsだ。
2013年12月、特定秘密保護法案が参院特別委で可決されたとき、民放のニュースキャスターが「民主主義が今日終わりました」と言った。奥田はそれをツイッターで知った。SASPL(サスプル)というSEALDsの前身で、同法の廃止を目指して活動していたからこそ、この言葉は忘れられない。
「でも考えてみたら、僕らが生まれてからずっと終わりっぱなしだったなって。バブルが崩壊して日本経済が終わったとか、失われた10年がいつの間にか20年になって、オウムの事件とか、リーマン・ショックとか。で13年になって、民主主義が終わりましたとか言って。また終わんの、みたいな」
奥田が高校を卒業する春、東日本大震災があった。「なんだこれ、本当に現実か」。新生活を前にした浮かれ気分は吹き飛んだ。震災から10日後には、仙台市へ。一日10時間、トラックの助手席で揺られ、救援物資を運んでは降ろした。
「震災が起きたときも、日本が終わったって言ってる人がいた。それでも、ボランティアをするとか、脱原発デモとか、何かを始めようという人がいっぱいいたんスよ。みんな終わったって言うけど、始める人があまりにも少なかったんじゃないのかって思う。終わったなら始めればいい。何回でも始めればいい」
※AERA 2015年8月31日号より抜粋