ステージの学生がスマホに書かれたメモを手にスピーチすると、会場は共感の歓声と拍手に包まれる。SEALDsは東京にとどまらず、関西、東北、沖縄などの学生も呼応し、地方組織が生まれている(撮影/写真部・加藤夏子)
ステージの学生がスマホに書かれたメモを手にスピーチすると、会場は共感の歓声と拍手に包まれる。SEALDsは東京にとどまらず、関西、東北、沖縄などの学生も呼応し、地方組織が生まれている(撮影/写真部・加藤夏子)
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明治学院大学4年奥田愛基さん(23)「特定秘密保護法に反対するとき、日本の大学生で俺らが一番この法律に詳しくなろうって話し合った。ロジカルに、でも『これ嫌だ』って感情があってもいいよねって」(撮影/写真部・加藤夏子)
明治学院大学4年
奥田愛基
さん(23)
「特定秘密保護法に反対するとき、日本の大学生で俺らが一番この法律に詳しくなろうって話し合った。ロジカルに、でも『これ嫌だ』って感情があってもいいよねって」(撮影/写真部・加藤夏子)

 毎週金曜日、午後7時30分、国会議事堂正門前。この夏、ここで、日本の新しい民主主義が生まれた。その熱源が、SEALDsと名乗る学生たち。彼らは安保法案に反対し、安倍政権の退陣を求めている。クールな抗議が、彼らの武器だ。

「安保法案、絶対反対」「戦争法案、絶対反対」

 ドラムやタンブリンのリズムに乗り、まっすぐなメッセージが昼の熱気をはらむ夜空に響く。

「国民なめんな」「勝手に決めんな」

 ミカン箱をひっくり返して作った簡易ステージに立つメンバーがリードするコールに、数千人が応える。

「I say“憲法”、you say“守れ”」「憲法」「守れ」

 そしてこれが、彼らが立ち上がる理由だ。

「Tell me what democracy looks like(民主主義って何だ)」「This is what democracy looks like(民主主義はこれだ)」

 6月に始まった抗議に参加したのは800人。それが8月14日には8千人(いずれもSEALDs発表)になった。この間、安保法案は強行採決の末に衆院を通過。それにもかかわらず、抗議のうねりは衰えない。

 SEALDsの学生メンバーはLINEでつながった200人ほど。毎週の抗議に押し寄せるのは、SNSで拡散された彼らのメッセージに共感し、報道されるその姿勢に動かされた人たちだ。年代も背景もさまざまな参加者が、コール・アンド・レスポンスで一つになる。彼らの抗議は、牧歌的にシュプレヒコールを繰り返す既存のデモのスタイルとは違う。

「響くっていうか、いい感じに伝わる、そういうコールの言葉、探しているんですよね」

 そう話すのは、明治学院大学4年の奥田愛基(あき)(23)。SEALDsのフロントマンと呼べる存在で、抗議では常に先頭に立ってきた。コールに盛り込むメッセージだけではなく、フライヤーやプラカードのデザイン、一つひとつにこだわってつくり上げたのが、SEALDsの活動だという。意識したのは、自分たちがカッコいいと思える感覚。

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