毎週金曜日、午後7時30分、国会議事堂正門前。この夏、ここで、日本の新しい民主主義が生まれた。その熱源が、SEALDsと名乗る学生たち。彼らは安保法案に反対し、安倍政権の退陣を求めている。クールな抗議が、彼らの武器だ。
「安保法案、絶対反対」「戦争法案、絶対反対」
ドラムやタンブリンのリズムに乗り、まっすぐなメッセージが昼の熱気をはらむ夜空に響く。
「国民なめんな」「勝手に決めんな」
ミカン箱をひっくり返して作った簡易ステージに立つメンバーがリードするコールに、数千人が応える。
「I say“憲法”、you say“守れ”」「憲法」「守れ」
そしてこれが、彼らが立ち上がる理由だ。
「Tell me what democracy looks like(民主主義って何だ)」「This is what democracy looks like(民主主義はこれだ)」
6月に始まった抗議に参加したのは800人。それが8月14日には8千人(いずれもSEALDs発表)になった。この間、安保法案は強行採決の末に衆院を通過。それにもかかわらず、抗議のうねりは衰えない。
SEALDsの学生メンバーはLINEでつながった200人ほど。毎週の抗議に押し寄せるのは、SNSで拡散された彼らのメッセージに共感し、報道されるその姿勢に動かされた人たちだ。年代も背景もさまざまな参加者が、コール・アンド・レスポンスで一つになる。彼らの抗議は、牧歌的にシュプレヒコールを繰り返す既存のデモのスタイルとは違う。
「響くっていうか、いい感じに伝わる、そういうコールの言葉、探しているんですよね」
そう話すのは、明治学院大学4年の奥田愛基(あき)(23)。SEALDsのフロントマンと呼べる存在で、抗議では常に先頭に立ってきた。コールに盛り込むメッセージだけではなく、フライヤーやプラカードのデザイン、一つひとつにこだわってつくり上げたのが、SEALDsの活動だという。意識したのは、自分たちがカッコいいと思える感覚。