「政治家は言葉が大事。戦争と愛については何をしても許されるという部分はあるんです。その目的のためには、負の部分はネグったらええんです、はい。学術論文ではないのだから、いかに心に届くかです」

 会場は割れんばかりの大拍手に包まれた。しかし、会合での発言が「報道への威圧だ」との批判にさらされたのは、ご存じの通り。問題を沈静化させるため、自民党は素早く発起人の木原氏を1年間の役職停止処分にし、問題発言を行った3人の議員も厳重注意にした。

●執行部に批判も 支持下落の危機

 もっとも、この処分に対し、党内では不満が広がっている。「青年局主催ではなく、私的な勉強会なんだから、どうして青年局長を党として処分できるの? 国会に迷惑をかけたというなら現職の村上誠一郎や憲法調査会を開いた船田元、いろいろ文句を言っているOBの山崎拓、古賀誠たちはどうして処分しないのか。執行部はダブルスタンダードですよ」(勉強会に出ていない自民党若手議員)

 党内政治に精通する自民党のベテラン議員秘書は、こんな見通しを示す。

「いまの安倍政権の支持率は平均すると40%台。安保法案を衆参で2度強行採決して5%ずつ落ちても3割台を維持できる計算だったが、この騒動でもし5%を失えば危険水域の支持率2割台。そうなると秋の総裁選も無風ではすまなくなる。石破茂さん、野田聖子さんの動きをウォッチしないといけない」

 安倍政権はメディアとの関係において、硬軟取り混ぜた巧妙な対策を取っている。

 今年4月、「週刊ポスト」が、高市早苗総務相の実弟である秘書官が関わる疑惑を特報した。三重県の農業法人が政府系金融機関から受けた融資のうち、1億円が使途不明になっており、高市氏の秘書官が金策に奔走した、という内容だ。

 事情を知る関係者によると、記事を仕上げる校了日の2、3日前に同誌記者の携帯電話が鳴るようになった。相手は内閣情報調査室(内調)だった。

「(報道する内容は)あの話ですか」「いつ出るんですか」

 掲載内容に関する探りが入った。政府側の「援軍」は、意外なところからも現れた。

「本当に書くんですか」「根も葉もない話じゃないですか」

 官邸詰めの全国紙政治部記者からだった。政府中枢の情報を握る官邸が、記者をコントロールして、自らは手を汚すことなく、都合の悪い報道に「圧力」をかける。そんな巧妙な仕掛けが垣間見えるのだ。

暮らしとモノ班 for promotion
大人のリカちゃん遊び「リカ活」が人気!ついにポージング自由自在なモデルも
次のページ