「会の本来の目的は(秋の総裁選での)安倍再選の雰囲気づくりだった」

 発起人は党青年局長の木原稔衆院議員だが、背後の「プランナー」は会合にも出席していた安倍首相の側近である萩生田光一・党総裁特別補佐と加藤勝信官房副長官だったという。

 同じ日に予定されていた「反安倍」議員の勉強会を中止させ、同じ週に放送される討論番組「朝まで生テレビ!」への議員の出演も、党本部の要請で出席を見送らせたとも伝えられている。万全の準備で臨んだ安倍応援の会合のはずだった。

 私的勉強会といいながら、自民党を担当する記者でつくる「平河クラブ」に開催の案内が届いた。しかも、「終了後に、代表の木原稔より記者ブリーフィングをさせていただきます」とある。ひっそり勉強する会ではないことは、誰の目にも明らか。期待通り、大勢のメディアが集まり、会合の最中には「壁耳」と呼ばれる取材が行われた。

「盗み聞き」という批判もあるが、政党と記者の暗黙の合意のもと長年行われてきた取材方法で、今回だけを問題視するのは筋違いというものだ。

「若手を煽って再選の雰囲気を盛り上げたかった。メディア批判や沖縄批判は会の趣旨じゃなかったが、百田さんに引きずられた」(B議員)

 だが、いささか煽りすぎてしまったようだ。勉強会では、実際に報道されている以上に激しい言葉が飛び交った。

「(沖縄)タイムス、(琉球)新報の牙城の中で、沖縄の世論、ゆがみをどう正しい方向に持っていくか。(中略)沖縄はもう左翼勢力に乗っ取られちゃってる」

「朝日、毎日、東京新聞を読むと、もう血圧が上がって、どうしようもない。あれに騙されているんですよ、国民は」

「青年会議所も経団連も商工会議所も、子どもたちに悪影響を与えている番組ワースト10とか発表して、これに広告を出している企業を列挙すべきだ」

 集団的自衛権の行使容認を柱とした安保法案を「憲法違反だ」と指摘する歴代の内閣法制局長官に絡めて、内閣法制局をこきおろす発言も飛び出した。

「法制局は法の番人とか言われているが、内閣法制局で法律家の資格を持っているのは6人だけ。言ったら、80人の医者のなかで免許を持っているのが6人だけの病院なんですよ。そういう人たちの解釈をずっと持ち続けないといけないのか」

 よく分からない例えだ。最後に百田氏がこう締めくくった。

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