慶応義塾大学大学院システム・デザイン・マネジメント研究科(SDM)のデザインプロジェクトの授業。グループワークは土曜の午後1時から6時まで行われた(撮影/編集部・高橋有紀)
慶応義塾大学大学院システム・デザイン・マネジメント研究科(SDM)のデザインプロジェクトの授業。グループワークは土曜の午後1時から6時まで行われた(撮影/編集部・高橋有紀)
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 社会に出てから、改めて大学院で学び直す人々がいる。費用は決して安くないにも関わらず、出願が殺到する理由とは。

 学費は2年間で約400万円。「決死の覚悟で老後資金を投入しました」と今春入学した女性は明かす。

 慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(SDM)。自腹を切ってもここで学びたいという社会人が殺到する。1学年の定員77人をはるかに上回る出願があるといい、今年度入学した学生の7割以上は社会人経験者だった。そこまでして彼らが学び直しているものとは何か──。

 土曜の日吉キャンパス(横浜市)の一角。SDMの教室は人があふれ、熱気がみなぎっていた。一見しただけでは、誰が先生で誰が学生なのかわからない。白髪まじりの学生と20代前半の若者が、ともにグループワークに取り組む。

 修士1年の必修科目でSDMの目玉授業のひとつ、「デザインプロジェクト」。今年度は、東京電力、横浜市、リコー、ホッピービバレッジなど七つの企業・組織から提示される課題に、5~7人のグループで数カ月かけて取り組み、プレゼンする。提案は、社会に新しい価値をもたらす製品やサービスでなければならない。学生たちは必要な方法論や思考法を学びながら、問題解決の力を養っていく。

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