「迷惑料のようなものです。それで暮らしていける金額ではないですよ」
軍用地の賃料について、比嘉さんは「実際の地価水準からすると、安く抑えられている」と話すが、別の見方もある。
来間泰男・沖縄国際大学名誉教授は「高すぎる軍用地料の弊害」をかねて訴えてきた。
「地価全体は低落傾向にありますが、軍用地は1990年代は年間4~5%、2000年以降は1~2%は着実に上がってきた。地代は生産額の6%程度ですが、当初の軍用地料は38%に設定されていた。保障を含めた価格で、純粋な地代ではない。政治価格なのです」
農業経済が専門の来間さんは、軍用地の賃料収入が、沖縄全体の農業生産を大きく上回る状況が異常だと指摘する。13年の軍用地の賃料収入は年間960億円ほど(自衛隊を含む)。県の生産農業所得388億円は、その4割しかない。
「沖縄全体がどれだけ農業で頑張って野菜や果物を作っても、単に土地を貸しているだけの軍用地の賃料にまったく及ばないお金しか稼げないのです。働く農業者と働かない地主との格差は広がっている」(来間さん)
※AERA 2015年6月29日号より抜粋