海外の有名大学では、母校の評判を上げるため、卒業生が活躍している。ボランティア登録をした卒業生が募金活動や在学生へのアドバイスなどを行い、社会的に活躍する卒業生が大学運営や戦略にかかわる委員会に無償で参加して助言する。

 そうした海外の大学を見習い、東大は卒業生の支援を得ることを戦略の一つと位置づけ、05年に卒業生室を設置してネットワーク作りを始めた。「自分は東大の世話になっていない」と冷ややかな卒業生も多く、学内の認知度は高くなかったが、さまざまな試みにより次第にネットワークが充実してきた。

 存命の卒業生は約20万人で、校友会の会員数は10万を超える。オンラインコミュニティーの会員も3万人以上になった。

 卒業生が在校生を支援する制度もある。卒業生が留学体験を語る説明会や、海外で働く卒業生による体験活動プログラムの支援などだ。ベンチャーにかかわる卒業生が、現役学生や若手の卒業生に助言する場もある。学ぶのが好きな卒業生のためには、学びの場を提供している。

「東大セルフ・インベストメント」は、東大の教員と卒業生によるワークショップスタイルの勉強会だ。先端のビジネスモデルなどをテーマに、オンラインコミュニティーで募集すると、すぐに満員になるという。年齢や立場が異なる参加者同士が活発に議論し、参加したという仲間意識が生まれる。その場が、島田さんのいう二つ目のつながりになっているようだ。

AERA  2015年4月27日号より抜粋

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