難しい単語を駆使した英会話はかっこいい…と思いがちですが、実はネイティブからすると微妙? 専門家は、日本人の英語をこう見ています。
米国出身で、日本で30年近く英語を教えているデイビッド・セインさんは常々、「日本人は必要以上に難しい英語を使い過ぎる」と感じている。
「知的な表現をして尊敬されたいという気持ちが強いのかもしれませんが、米国などでは難しい言葉で自分をアピールしようとする人は、かえって嫌われがちです。意味があることを単純な英語で言うのがベスト。反対に、単純なことを複雑な言葉で言うのは最悪です」(セインさん)
相手の言っていることがわからないとき“There has beena miscommunication between us.”などと言おうとする人が日本人には少なくない。そうした表現も間違いではないが、“I don't get it.”のような簡単な言い回しで十分。平明な言葉を使えるようになることこそ大切で、「こんな簡単な言い方をして幼稚だと思われないだろうか…」といった心配は無用だと、セインさんは話す。
「『わかりやすく言い過ぎている』という批判は、英語ではまずありえません。相手にいい印象を与えたいという思いよりもわかりやすさを優先し、シンプルな文章を連発しましょう」
身ぶり手ぶりや顔の表情、声色などの追加情報が付けられない「英作文」では、心細さも手伝って、多くの言葉を連ねがちだ。しかし、読む人に読解の負担を強いる書き言葉でこそ、簡潔な表現が「マナー」だと、セインさんは強調する。
「米大統領の演説原稿も、何人ものスタッフが直すうち、どんどん単純で短い文章で構成されていきます。そのほうが伝わるからで、『シンプル・イズ・ベスト』なのです」(セインさん)
AERA 2015年3月2日号より抜粋