「ハケン第一世代」とも言えるバブル女子たち。これからどうやって働き続ければいいか、不安が押し寄せる。一方で、バブル仕込みの自信が彼女たちを支えるのだ。
都内の会社で事務系の派遣社員として働く女性(50)は不安を吐露する。
「年齢がいくほど、仕事がなくなっていくと感じます」
20代は正社員で働いていたが、病気で仕事を辞めざるを得なくなった。30代半ばで再就職した時には派遣の道しかなかった。
今は週5日働いて、手取りは月約17万円。交通費もつかないので、生活はギリギリ。しかも、40歳を過ぎてから派遣先が一気に減った。時給を下げても、なかなか見つからないという。
「独身なので、派遣先がなくなれば間違いなく生活は破綻します。70歳まで働くなんて考えたくないけど、生活保護を受けているかもしれません」
しかし、こんな不安な状況に弱気になってばかりいないのも、バブル女子たちの特徴だと言うのは、昨年『「バブル女」という日本の資産』という本を上梓した、マーケティングライターの牛窪恵さん。
「私もそうですが、バブル女子は右肩上がりの時代に青春時代を過ごし、新しいことにも果敢にチャレンジしてきて今も『根拠なき自信』を持ち続けている。頑張れば夢はかなうと信じていて、無謀と思っても破天荒な道を進もうとします。それはハケン社員であっても同じです」
都内でハケンで働く女性(50)は、いまも“大女優”になるのを夢見ている。
地方の大学を卒業し、商社で正社員として働いた。だが、半年で会社を退社、話術に長けていたため司会業などをこなしているうち芝居に目覚めた。地元の劇団に入って舞台に立ちながらさらなる夢が膨らみ、2年前に東京の芸能事務所に入るために上京。オーディションは昼間に急に開催されることが多いため、自由な働き方ができる派遣社員になった。街ですれ違った時に振り向いてもらえるような女優になりたいという。
「自分がやりたいことを選んだ人生。お金じゃない。私の人生、これからです」
※AERA 2014年12月8日号より抜粋