近年増えているという、原因不明の腰痛。医師に、「9割近くが改善した」という腰痛の痛み緩和術を聞いた。

 都内の食品会社に勤めるB子さん(34)は、数年前から腰痛に悩まされている。1年半前に長女を出産してからは痛みが強くなったため、何件も整形外科をハシゴしたが、X線などで検査をしても「異常はない」と言われるばかり。腰を引っ張る牽引や、温める電気療法などのあと、痛み止めと湿布を渡されるというのがお決まりのパターン。マッサージに行っても一時的に痛みが軽くなるだけだ。

 お茶の水整形外科(東京都千代田区)の院長、銅冶英雄医師は、「原因不明の腰痛」について、こう説明する。

「脊椎(背骨)を構成する椎間板や椎間関節などが、悪い姿勢を続けたり無理な動作をしたりすることでずれて痛みが生じるケースが多いと思われます。ただ、脊椎は筋肉や神経といったさまざまな組織が集まっている場所だけに、どの組織が痛みを出しているのか、特定が難しい。そのため整形外科に行っても原因がはっきりせず、治らないことも多いのです」

 銅冶医師がこうした患者に施している治療の一つが「腰痛体操」だ。簡単に行える運動療法で、慢性の痛みや再発防止に効果が高いという。

 まず腰痛を大きく「後屈改善タイプ」と「前屈改善タイプ」に分ける。腰痛患者の約6割を占める後屈改善タイプは、背の人や中腰での作業が多い人がなりやすい。立った状態で両手を腰の後ろ側に当ててひざを伸ばした状態で後ろにゆっくり反ってみたとき、痛みが軽くなればこのタイプだ。一方、前屈改善タイプは立った状態から前かがみになると、痛みが軽くなる。

「この方法で9割近くが改善しています。腰痛がない人もふだんから両方の体操をやれば予防になる。ふだんから無理な姿勢をとらないよう、注意することも大切です」(銅冶医師)

 ただし、痛みが激しい、麻痺したように足に力が入らない、尿が出ない、けががきっかけで痛むようになった人などは、すぐに受診してほしいという。

AERA 2014年9月29日号より抜粋