紫外線の量が近年増加傾向にあるなか、少年野球でサングラスの着用が認められるなど、目の紫外線対策が徐々に広まっています。目はとてもデリケートで、強い紫外線を浴びると結膜炎や角膜炎を発症するほか、老眼や白内障の発症を早めたりすることがわかっています。紫外線が目に与える影響について長年研究している金沢医科大学眼科学講座の佐々木洋主任教授に、子どもの目の紫外線対策について聞きました。

MENU UVインデックス「3」以上は注意 レンズの色とUVカットの効果は無関係

UVインデックス「3」以上は注意

――紫外線の量は季節によって異なりますが、目への影響を考えるとどの程度から注意すべきでしょうか。

 紫外線の強さを示す指標として、気象庁がWEBで公開している紫外線情報「UVインデックス」があり、1~11までの数値で分類されています。ただし、この指標は皮膚の日焼けに対するものなので、目の場合はより少ない紫外線でも注意する必要があります。具体的には3~5くらいから注意したほうがいいでしょう。月別のUVインデックスで「3」以上となる、3月から10月ごろまで注意が必要です。

写真・図版(2枚目)| 紫外線から目を守るには「子どもにもサングラスを」と眼科医 「朝、夕の紫外線にも注意が必要」

――気を付けるべき時間帯は?

 8時から16時の間です。紫外線が強いシーズンは、この時間帯に3時間以上屋外にいると、目が充血して結膜炎を起こす可能性が高くなります。UVインデックスのピークとなるのはお昼ごろですが、目の場合は朝や夕方も気を付ける必要があります。紫外線には散乱光と直射光がありますが、朝夕に目が浴びる紫外線は直射光です。朝や夕方はUVインデックスが低いですが、太陽が低い位置にあるのでより直射光を浴びやすくなります。逆に太陽の位置が高いとおでこで紫外線をカットできるので、直射光は目に届きにくくなります。

――特にどのような子どもは気を付けたほうがいいでしょうか。

 野球やサッカー、テニス、陸上競技など屋外スポーツをやっている子です。こうしたスポーツをしている子は、紫外線が強い地域ではなくても、紫外線の影響で発症する「瞼裂斑(けんれつはん)」になる子が多い傾向があります。瞼裂斑は白目の上にできる黄色い斑点や隆起で、悪性のものではないので治療は不要ですが、紫外線をたくさん浴びていることを示すバロメーターになります。

次のページへ子どものサングラス選びのポイントとは
著者 開く閉じる
中寺暁子
ライター 中寺暁子

健康情報誌編集部などを経て、2000年からフリーに。医療・健康・教育のテーマを中心に取材・執筆活動を行う。

1 2