東京大学の合格のためには親のバックアップが欠かせない。受験母は子どもの幼少期から、学力を伸ばすべく努力している。
契約社員の森長紀海さん(仮名=51)の長男(理Ⅲ)は3歳のころからジグソーパズルで大人しく遊んでいたのは当たり前で、小学校に入学したころには、そのパズルを何と裏返しにしてはめ込んでいたので、驚いたという。
「小さい頃からぐずって困らせるということがまったくない聞き分けの良い子どもでした。親ばかかもしれませんが、集中力や興味の持ち方が他の子どもと比べると少し違うと感じました」
森長さんは長男の他の子どもと違うという良い点を見極めて徹底的に伸ばしたという。 集中力と暗記力は幼稚園の時から「公文式教室」と、脳力開発を目指す塾に通わせた。どちらの塾の試験でも秀でた結果だったが、小学3年生できっぱりとやめてしまった。
「木の幹だけ育っても良い葉は作れない」と、4年生からは応用力をつけるために大手学習塾と算数の個人塾の門をたたいた。
小学校の友達とは学校で遊んで放課後はほとんど塾通い。学校生活でトラブルを起こさないためにも友達には必要以上に関わらないように教えた。
「クラスの生徒のうち、中学受験を目指していたのは全体の半分ぐらい。受験しない子どもたちからの遊びの誘惑を上手にかわさなくてはならないと教えました。これは人生勉強でもあります」
森長さんによると、男の子の場合、母親が子どもの勉強を見るのは小学校までだと話す。とにかくほめてほめまくるのだという。感情的になる母親というのは、
「受験母の素人。ドリルをたくさん買うことはあっても勉強を見ていないので、たまに見た時に子どもができないから怒ってしまうんです。塾の情報も良さそうとすぐに飛びつかない。先輩ママに塾の感想を聞いて、自ら足を運んで、子どもに体験をさせる。感情的にならずに判断することが成功に繋がります」
※AERA 2014年7月28日号より抜粋