TPP交渉にみるように、アメリカの対日輸出へのこだわりは強い。その背景にあるものとは。
アメリカの農業団体は5月、日米TPP交渉で農業分野での“聖域”保護に固執する日本にいら立ちを表明した。
“日本はTPP交渉参加を発表した時点でTPPの目標である関税撤廃、市場解放を受け入れたはず。日本が“聖域”を取り下げなければ日本の交渉参加の一時的中断も考慮するべきだ”
Farm Journal(アメリカ唯の全国向け農業誌)には、“日本の要求はTPP交渉を腐食し始めている”という記事が載った。
オバマ政権が、何とか日本との妥結に持っていきたいと望む理由はなんだろうか。それは、米農務省が、米国大使館の調査をもとにまとめた“日本が米国農業にとって不可欠である10の理由”から、うかがうことができる。
(1)日本はGDP世界第3位。
(2)日本文化は食べるものに気を使う(うるさい)。
(3)輸入食料品の需要は下降しない。
(4)日本は、自国で必要な食料の40パーセントしか生産できないため、食料確保のために輸入は欠かせない。
(5)アジアでの諸々の流行/傾向は日本でスタートする。
(6)日本は米国にとって最も密接な同盟国の一つ。
(7)日本は社会的に大きく変化中(ベビーブーマー世代が悠々自適にリタイアメントした)。
(8)食生活の多様性が広がり、主食の米の消費量が1962年から2008年の間に半減している。
(9)日本の食料品購入パターンが劇的に変化している(コンビ二食品の台頭)。
(10)東日本大震災の後の日本人の頑張りで、復活力を世界にみせつけた。
報道によると、TPP交渉が妥結した折には、アメリカの輸出入全体に占める対日貿易の割合は40パーセントになる。
※AERA 2014年6月16日号より抜粋