アメリカで話題の「ハウスワイフ2.0」の潮流は日本にも来ている。学歴やキャリアの自信に裏打ちされ、会社を飛び出す女性たち。新しい主婦像は、仕事と家庭の両立に悩む女性たちを救うのか。
アメリカと日本とでは就業状況は異なるものの、「女性が企業社会で燃え尽きる」という点では共通する部分がある。国立社会保障・人口問題研究所の2010年の調査では、働く女性の約6割が出産を機に退職している。出産後に働き続けたとしても、家事や育児との両立の負担は主に女性にのしかかる。その結果、会社での評価や給料と実際の負担感を天秤にかけることになってしまうのだ。
「お金はそこそこでいいから、精神的なゆとりや子どもとの時間をもちたい、という欲求が出てきているのでは。仕事と家事育児の両立の難しさに直面した女性たちが、ここにきて家庭回帰、手作り志向を強めているとすれば、それも人間らしさを回復して幸せに生きたいという気持ちの表れと言えるのではないでしょうか」(文筆家の大野左紀子さん)
主婦に特化した人材サービス「しゅふJOB」を展開するビースタイル代表の三原邦彦さんもこう話す。
「どんなに優秀な女性であっても、結婚や出産をきっかけにキャリア観を転換せざるを得ない状況は変わらない。そんな女性のウイークポイントを逆手にとったのが、ハウスワイフ的な仕事のイメージだと思います」
それは例えば起業だったり、時間ではなく成果で評価される働き方だったりする。過去年収500万円以上の高キャリア主婦向けの同社のサービス「しゅふJOBエグゼ」に登録している春元富美子さん(45)は、大手企業の人事部でパート勤務している。
「家庭を犠牲にしたくはないので以前のようなハードな仕事に戻るつもりはありません。自分のペースで一生走り続けて、可能性を試し続けたい」
※AERA 2014年6月16日号より抜粋