(撮影/写真部・岡田晃奈)
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 女性の人生に大きな影響を与える、出産時期。働く女性の出産は、アラサー産とアラフォー産の「産み時二極化」現象が進行している。出産は早い方が良いと言われることが多いが、アラフォー産で得るものも大きいようだ。

 IT企業で管理職として働く女性(46)は、45歳で長男を出産した。超高齢出産だが、産み時は必然だったという。

 バブル期に証券会社に入社した。残業した後は夜な夜な飲み会に繰り出し、タクシーチケットで帰る毎日。バブル崩壊で業界が急速にしぼむと、もっと面白い仕事がしたいと、今度は広告やITの世界に飛び込んだ。ベンチャー企業の立ち上げにも参画、時代を先取ってサービスをつくる仕事にのめりこんだ。その時々で恋人はいたし、いずれ結婚もしたいと思ってきたが、仕事で出合う世界の刺激のほうが大きく、結婚には至らなかった。

 東日本大震災直後に、かねて知り合いだった11歳年下の男性にプロポーズされた。素直に受け入れられたのは、震災で一人の不安さを痛感していたからかもしれない。44歳で結婚。年齢的に子どもがいない人生も受け入れていた。だが、特に不妊治療もしないのに、すぐに妊娠がわかった。周囲からは、「逆転サヨナラ満塁ホームランだね」と言われる。自分でもそう思う。こんなラッキーはそう多くはないと知っているから、周囲には子どもがほしいなら早く産むほうがいいと言っている。

 ただ、キャリアを考えると、40代で産んだことはプラスも大きいと感じる。仕事の全体像を把握しているので効率化しやすいし、裁量権があるので部下に仕事も振れる。社内外の人脈や経験があるぶん、トラブルにも対応が早い。会社にいなくても指示できることも多いので、今は週4勤務で出産前と同じポジションを維持している。

 もしアラサーで産んでいたら、流れの速いIT業界でついていけなかったかもしれない。育児との両立で大変な思いをしながらでも働き続けたいというモチベーションは、わかなかっただろうと思う。

AERA 2014年3月10日号より抜粋

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