高校の同級生同士で、高校時代はバンドを組んでいた。デビュー時から改名を繰り返し、現在の芸名は六つ目。現在までを振り返った『リストラ芸人』(上田著、講談社)が発売中。ケイダッシュステージ所属(撮影/写真部・久保木園子)@@写禁
高校の同級生同士で、高校時代はバンドを組んでいた。デビュー時から改名を繰り返し、現在の芸名は六つ目。現在までを振り返った『リストラ芸人』(上田著、講談社)が発売中。ケイダッシュステージ所属(撮影/写真部・久保木園子)@@写禁
この記事の写真をすべて見る

「遅咲き芸人」が続出している理由を、お笑い評論家のラリー遠田さんは「お笑いブームが落ち着いたこと」に見る。M–1や「エンタの神様」(03~10年)、「爆笑レッドカーペット」(07~10年)は、キャリアが浅く細かい技術のない芸人でもインパクトを残せる番組だった。それらのレギュラー放送が終わる一方で芸歴不問のお笑いコンテストが増え、実力ある芸人にもスポットが当たりだしたという。

 もう一つの要素もある。

「明るい兆しが見えない世相の中、斬新なだけではなく、頑張ってるねと『共感』できるお笑いも求められている。それを生み出せるのは、芸歴を重ねて苦労してきた芸人」(ラリーさん)

 昨年、芸歴不問の漫才師日本一決定戦としてリニューアルした「THE MANZAI」。その第1回で知名度を飛躍的に上げたのが芸歴19年目の「Hi–Hi(ハイハイ)」だ。

「思いついたこと、何でも言っちゃうんだよ」

 とボケの上田浩二郎が漫才冒頭に宣言し、ツッコミ岩崎一則の進行を邪魔しまくる。決勝大会では漫才の途中に「漫才たのしー!」と上田が叫ぶほど会心の出来で、M–1では準決勝進出経験すらなかった彼らが最終4組にまで残った。

 その最終決戦で岩崎が一瞬ネタに詰まった時、上田はアドリブでこう叫んだ。

次のページ