新雑誌「DRESS」の表紙を飾るのは米倉涼子さん。山本編集長(右)の「しばらく結婚は……」というプレッシャーに苦笑い。結婚願望は肯定(撮影/写真部・関口達朗)
新雑誌「DRESS」の表紙を飾るのは米倉涼子さん。山本編集長(右)の「しばらく結婚は……」というプレッシャーに苦笑い。結婚願望は肯定(撮影/写真部・関口達朗)
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 市場規模1兆円の「美魔女」ブームの仕掛け人で、女性誌「STORY」「美ST」の元編集長、山本由樹(ゆき)氏(50)が新たな市場に向けて動き出す。次のターゲットはシングルアラフォー女性である。来年4月に月刊誌「DRESS」を創刊する。

「既婚女性を対象とした雑誌で、疎外してしまっていたのが独身女性。結婚=幸せから、恋愛=幸せという価値観へ変えたい」

 新雑誌のために古巣の光文社を退職、9月に幻冬舎グループの出版ベンチャーとして新会社「gift」を設立し、代表取締役社長に就任。その経営陣のメンツがすごい。最高顧問に作詞家の秋元康氏、名誉会長にエイベックス・グループ・ホールディングス社長の松浦勝人氏、取締役会長に幻冬舎社長の見城徹氏、さらに取締役副会長にサイバーエージェント社長の藤田晋氏。いったい何が起きるんだ、という面々である。

 創刊に先駆けて年内にオープン予定のウェブ版では、「女のための女の内閣」の“大臣”として任命された専門家が情報を発信する。結婚問題担当相にはタレントの小島慶子さん、恋愛担当相は脚本家の北川悦吏子さん……と発信力の強い女性をそろえた。

「雑誌を核に女性がどんな選択をしても自由で輝いていられる社会にしたい」

 と山本氏。バブル世代らしい情熱も、大きなトレンドを生みだす源泉かもしれない。一方でターゲットとなる団塊ジュニア世代は、ガツガツ感がない世代。「独身アラフォー向け女性誌」というだけで腰が引けそうでもある彼女たちの支持を得るために、今後旅行サイトの一休.comと連携した宿泊施設やスパなどの予約や、雑誌連動型の通販、さらに読者同士が悩みを打ち明け共感し合えるSNSサービスを整えるなど、雑誌やネットに留まらないリアルのサービス提供も予定している。

 しかし、男50歳なのに、なぜここまで女心がわかるのか。女性誌編集者歴は、女性週刊誌「女性自身」を皮切りに26年。

「職業病ですかね。最近、男性との会話が、全く記憶に残らないんです」(山本氏)

 それぐらい女性の話ばかり真剣に聞いているらしい。女性との会話から“言えない欲望”を探り、代弁するという。果たして来春、どんな“欲望”が顕在化するのか。

AERA 2012年12月3日号