帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
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帯津三敬病院 (撮影/多田敏男)
帯津三敬病院 (撮影/多田敏男)

 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「身辺整理について」。

【写真】帯津三敬病院

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【ポイント】
(1)少しずつでも身辺整理をしていくべき
(2)断捨離とは執着を手放すこと
(3)ときめきのために最後まで手放せないものは

 病院のなかの私の部屋は2階の北側にあり、窓からは広々とした田園風景が望め、いつも目を楽しませてくれます。特に田植え前の田毎(たごと)の月と刈り入れ後の白鷺の訪れは、私のうれしい歳時記です。

 室内に目を転じると、三方の壁は本棚とそこに入りきれずに積み上げられた本がひしめいています。部屋の中央にある大きな机も本や書類の山に占領され、原稿用紙を3枚ほど置けるスペースしかありません。床にはウイスキーやら焼酎やらの酒瓶が所狭しと立ち並んでいます。

 こんな具合ですから、大事な書類が見つからずに、立ち往生することも、しょっちゅうです。

 これも、忙しさ故と言い訳をしているのですが、何とかしなければいけないという気持ちもないわけではありません。

 80歳を過ぎたのですから、旅立ちの日も決して遠くはないでしょう。少しずつでも身辺整理をしていくべきだとは、思っているのです。まだ着手はしていないのですが(笑)。

 整理といえば、実は私には強い味方がいます。「断捨離」で有名な、やましたひでこさんです。やましたさんとは、以前に対談をして『人生に必要なものは、じつは驚くほど少ない』(集英社)という本を出版しました。

 この本には、「元気良く死に飛び込むための生き方指南」という副題までついています。80歳を過ぎてから身辺整理するためには、うってつけの本なのですが、話をしただけで実践できていないのが、お恥ずかしい限りです。

 やましたさんが整理整頓でキーワードにしている断捨離は、ヨガの行法哲学「断行・捨行・離行」から来ているそうです。執着を「断」って、執着を「捨」てて、執着から「離」れ、手放すということなんですね。

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