延江浩(のぶえ・ひろし)/1958年、東京都生まれ。慶大卒。TFM「村上RADIO」ゼネラルプロデューサー。国文学研究資料館・文化庁共催「ないじぇる芸術共創ラボ」委員。小説現代新人賞、ABU(アジア太平洋放送連合)賞ドキュメンタリー部門グランプリ、日本放送文化大賞グランプリ、ギャラクシー大賞など受賞
延江浩(のぶえ・ひろし)/1958年、東京都生まれ。慶大卒。TFM「村上RADIO」ゼネラルプロデューサー。国文学研究資料館・文化庁共催「ないじぇる芸術共創ラボ」委員。小説現代新人賞、ABU(アジア太平洋放送連合)賞ドキュメンタリー部門グランプリ、日本放送文化大賞グランプリ、ギャラクシー大賞など受賞
この記事の写真をすべて見る
苗場コンサート40周年を迎えた松任谷由実
苗場コンサート40周年を迎えた松任谷由実

 TOKYO FMのラジオマン・延江浩さんが音楽とともに社会を語る、本誌連載「RADIO PA PA」。今回は、松任谷由実さんが毎年開催する「SURF&SNOW in Naeba」について。

【写真】苗場コンサート40周年を迎えた松任谷由実さん

*  *  *

 東京から200キロ。苗場スキー場の2月はユーミンカラー一色になる。フランシス・レイ音楽、クロード・ルルーシュ監督の映画「白い恋人たち」の舞台、フランス・グルノーブルを思わせる、なんともロマンティックなリゾート地に様変わりする。

「たくさんの秘密を分けあった女友達と年に一度再会する場所」とも言われる「SURF&SNOW in Naeba」が今年40周年を迎えた。

「1981年、3月11日と12日の2日間だけ開いたのがそもそもの始まり。当日はゲレンデのスピーカーで知らせただけ。滑っている人たちに来て欲しかったから」とユーミンは語る(「Yuming Chord」毎週金曜11時、TOKYO FM系全国ネット2月21日放送)。

「日本語のリゾートソングがなかったから、そういう曲を中心に作った」というアルバム「SURF&SNOW」をきっかけに会場を探していると、「自宅(うち)に集まっていた大学生たちが、それなら苗場がいいですよ」と言った。「当時の苗場はエッジィな連中が集まるところでね。近くにJ TRIP BAR(ジェイ トリップ バー)があって、ピンヒールで踊りまくり、朝になれば東京に帰っていく。スキーする気なんてさらさらない。そんな人たちも来ていたんです」

 ワールドカップ選手村の食堂で座席にビニールの座布団を敷いて始めたライブは毎年続けることで話題になり、91年にはユーミンが命名した常設ホール「ブリザーディウム」もオープン、音楽ファンにとって欠かせない冬の風物詩になっていった。

 大学時代を含めて僕のスキーライフはほぼユーミンの苗場ライブに重なっている。

 AD時代は友人のワーゲンビートルにスノーラジアルを履かせて吹雪の中を何時間もかけて出かけて行った。レギュラー番組の収録後、ゲレンデでユーミンの後を滑った時には途中で雪が降り始め、心の中で「BLIZZARD」が流れた。

次のページ