マスクは時間がたつほど、ウイルスが付着して汚れていく。
「必ず使い捨てのものにしてください。私は診察のある日は1日に20枚使います。また診察がない日でも、外出するごとに替えるので、1日に4枚以上使用します。このくらいの枚数を目安にしましょう」
そして“手の対策”にも気をつかうこと。
「これは非常に重要なことですが、ウイルスを予防するためにはやたらに顔をさわらないことです。顔は無意識のうちに何げなくさわってしまうものですが、手指にウイルスがついていることも多々あります。にもかかわらず目元をさわれば、目の粘膜を通じてウイルスが鼻に侵入してしまう恐れもあります。顔をどうしてもさわりたいときは、ティッシュを持ってさわることです」
手指についたウイルスを洗い流すのは、基本中の基本。
「でも皆さん、簡単な手洗いですませていませんか? 手はなるべく30秒以上かけてきちんと洗うようにしましょう。石けんを泡立てて、手のひら、手の甲、指の間、爪の間、そして手首まで」
さらに手を拭くときは、使い捨てのペーパータオルを使うようにする。
「一般のご家庭では、家族で一枚のタオルを共用していることが多いでしょう。でもそのタオルを経由して感染が起こる可能性があることも忘れてはいけません。使い捨てのペーパータオルを用意するのが難しい場合は家族それぞれのタオルを用意して、別々のタオルを使うことをおすすめします」
また大谷さんは、家の玄関の前にアルコール性手指消毒剤を置いて、帰宅後まず15秒、手指を消毒することも大事だと言う。
「私自身、帰宅後は必ずやっています。アルコール性手指消毒剤は、手についたウイルスを弱らせて殺すことを目的としています。手洗いをするときと同じように、手のひらや手の甲、指先、指の間、手首に消毒剤をきちんとすり込むようにしてください」
外出から戻ったときは「2種類のうがい」も心がけたい。
「まずは口の中にあるウイルスや細菌を吐き出すために『クチュクチュうがい』をします。こういった病原体がのどのほうにいかないようにするためにも行ってください。そのあとのどについたウイルスを吐き出すために『ブクブクうがい』を行いましょう」
風邪やインフルエンザのウイルスが肺に到達して悪化し、肺炎になるようなことは絶対に避けたい。シニアの場合ならば、誤嚥性肺炎を防ぐために普段からのどを鍛える訓練もしておいたほうがよいと大谷さんが教えてくれた。