

ジャーナリストの田原総一朗氏は、「桜を見る会」における北村誠吾地方創生相の答弁や黒川弘務・東京高検検事長(63)の定年延期について、安倍首相への忖度を指摘する。
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繰り返し記しているが、「桜を見る会」疑惑はあってはならない、とんでもない出来事なのである。どう考えても税金の私物化である。
ところで、2月10日の衆院予算委員会は冒頭から荒れ模様になった。その原因は北村誠吾地方創生相の答弁が迷走したためである。
政府が2019年に国会に提出した約4千人分の「桜を見る会」の推薦者名簿の「内閣官房内閣総務官室」という部局名を、内閣府が白く塗りつぶした。
6日の予算委でこの点を野党が厳しく追及したのに対して、北村地方創生相は「刑法上の改ざんではない」と答弁したが、根拠について「私の思い」と述べるなどして混乱した。
新聞やテレビでは、北村地方創生相の不勉強を批判しているが、内閣総務官室は「総理枠」を取りまとめる部局であり、白塗りに首相の関与がなかったと言うために、北村地方創生相は矛盾した言い方をせざるを得なかったのではないか。
内閣府の官僚たちも、閣僚たちも、安倍首相を守るために忖度をしている、ということではないのか。
さらに、法務省が黒川弘務・東京高検検事長(63)の定年を半年延長していたことが予算委で問題となった。
人事院は「検察官には国家公務員法の定年規定は適用されない」と定めているのである。
国民民主党の後藤祐一議員がこの点を追及すると、森雅子法相は「検察庁法が適用されるのは検察官の退職の年齢と退職時期のみである」と説明し、「内閣法制局や人事院にも相談したが、異論はないとの回答を得ている」とも述べた。
黒川氏は、63歳を迎える誕生日前日の2月7日に退官することになっていて、検察当局は黒川氏の後任に次期検事総長含みで、同期の林真琴・名古屋高検検事長をあてる方針だったとされている。
それが首相官邸の意向で、強引に方針がねじ曲げられたということだ。