現在、検察トップの検事総長は、稲田伸夫氏(63歳)だが、今年の8月までに退官すれば、黒川氏は定年前で後任になれる。今回本件が特に問題視されるのは、黒川氏が、安倍政権べったりだという噂が絶えないからだ。
本当に政権に忖度する検事総長を誕生させるために定年延長したのか。
そうだとしたら、そこまであからさまな政権による検察人事への介入は史上初ということになるだろう。日本の民主主義を崩壊させると言っても過言ではない。
官邸が検察の人事に派手に介入する前例ができれば、検事総長を狙う検察幹部は、安倍政権と事を構えるのは危ないと考える。
今、桜を見る会事件で、政治資金規正法違反や収賄の疑惑で追い詰められている安倍晋三総理。IR汚職事件を検察が本気で追えば、菅義偉官房長官や安倍総理にも波及する可能性は高い。そんな折、秋元議員だけで他の疑惑のある議員は不問という検察の方針が報じられたり、菅氏の地元横浜市で活発に活動しているマカオなどでカジノを経営する「メルコ」に検察が家宅捜索したという大ニュースがほとんど報じられないまま消えてしまいそうなのはなぜか。
安倍独裁は、どこまでも強化され続けるのか。それとも、検察の反乱が起きるのか。検察の現場の奮起に期待したい。
※週刊朝日 2020年2月21日号