いたるところでの注意喚起。なぜこんなに不愉快なのかと思えば、人間の尊厳というものを奪われている気分になるからだと思う。わめけば伝わるというような強引さや、場所をわきまえない無粋さ、システムに自分の身体を合わせられるような窮屈さ、考える機会を奪われる不自由さ。本来の自分より小さくさせられる気分だ。わかりにくくてもいい、注意はいらない、私は静かな自由が欲しい。

 海外と単純には比べられないが、システムが人に合わせる国と、人がシステムに合わせる国に分けるとしたら、日本は後者の要素がかなり強い社会だ。怖いのは、注意喚起に私たちが慣れすぎてしまって、管理されること、管理することに無痛になっていることなのかもしれない。まずは“映画泥棒”の映画直前上映と、「他のお客様のご迷惑になるので~」アナウンス、やめてほしい。

週刊朝日  2020年2月7日号

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