いまや5千億円以上の規模となったふるさと納税。一時は、高価な返礼品などが問題とされ、総務省が寄付額の3割以下と新ルールを設けたことで落ち着いたが、今度はふるさと納税の窓口となる、サイト間での競争が激化している。そもそもサイトって何社くらいあるかご存じですか?
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うちわエビ、伊勢イモ、チェリモヤの果実、大シャコ……。ふるさと納税のポータルサイトで返礼品を見ていると、普段スーパーではお目にかかれないような品々が出てくる。地域の食材や特産品などを発見できるのも、ふるさと納税の楽しみ方の一つだ。
かくいう記者もふるさと納税を活用する一人だが、最近、数社のふるさと納税のサイトを見ていて、「あれ?」と思うことがあった。
返礼品の日本酒が、A社では寄付額1万1千円だったのが、B社では1万2千円だった。同じようにビールでも、A社が1万7千円、B社は2万円で3千円も差があった。
さらに驚いたのが、沖縄の泡盛だ。A社が1万円で、B社はなんと2万円。金額差は2倍。これはどういうことだろうか?
ここで、ふるさと納税の制度について振り返ってみよう。
菅義偉総務相(現・官房長官)の肝煎りで、2008年5月にスタートしたふるさと納税は、当初、寄付をしたお礼でもらえる返礼品について特に制限はなかった。税金の控除についても、上限額に達するまでは、いくら寄付しても自己負担額は2千円だ。そうした仕組みが支持され、市場は急速に拡大してきた。
しかし、自治体間での「返礼品競争」が激化。地元の特産品とはいえない旅行券やAmazonギフト券、高価な電化製品などを返礼品とする自治体が出始め、地場産品だけを返礼品としている自治体との寄付額の差は大きくなった。
ふるさと納税の本来の趣旨は、自分のふるさとや過去に住んだことがある地域のために寄付し、有効活用してもらう。自治体はさらに、地場産品を返礼品に活用することで地域産業も潤す、というものだった。