「Mさんは『とにかく案里議員に電話をしてほしい』と何度も話し、電話は切れました」
だが、Aさんが案里議員に連絡をすることはなかった。その後、12月24日の13時46分、14時8分、14時46分と3度続けて、案里議員の秘書、Tさんから着信は入った。そして27日には12時58分、Aさんの親族の電話が鳴った。案里議員本人からの着信で留守電に「河井案里です。えー、ちょっと大事なことがあるので、電話もらえますか?」という音声も残されていた。18時4分―。Aさんにも案里議員から着信があった。
「大事なことと案里さんは留守電にメッセージを残していた。捜査を受けている時にこんなことを言われ、ますます不安になりました。返答せずにいると、自宅に秘書がやってきたのです」(Aさん)
すると、年が明けた1月3日、Aさんが自宅でくつろいでいた時、玄関のインターホンが鳴った。応答すると克行議員の秘書だったFさんが玄関先に立っていた。
「案里さんが『私たちの弁護士に電話してもらえないか』『話をすり合わせてほしい』と言っておられるので、お願いします」
「私たちも、年明けすぐに取り調べで大変です」
Fさんはこう話すと、立ち去ったという。
「正月早々から、大変だなと思いました。Fさんは広島地検の取り調べで、かなり参っている様子で気の毒に思いました。でも、私は案里議員、弁護士には連絡をしませんでした。広島地検の取り調べで、口裏合わせのようなことをすると犯人隠避になりますよと、くぎを刺されていたからです」(Aさん)
1月8日にもFさんは、Aさんの自宅にやって来て、「(河井夫妻の)弁護士の電話番号です」と、メモを残して帰ったという。
翌9日、Aさんの親族が、新年会に出席したら偶然、克行議員の秘書だったMさんと一緒になった。親族はこう話す。
「Mさんはその場で私に『案里議員がAさんと話したいと言っています。必ず、電話してください。Aさんと(案里議員の)弁護士が話をして、話を合わせたいそうです』と繰り返し、頼んできました」