大学4年の16年、リオデジャネイロ五輪代表選考会を兼ねた4月の日本選手権は100メートル、200メートルともに5位でしたが、「初めて日本選手権で自己ベストが出ました。すごくうれしい」と喜んでいました。いい機会だと思い、会場の仮設スタンドのところで2人で話をして、卒業しても競技を続けるように伝えました。本人は卒業したらやめるつもりだったようですが、「お前はこれからだと思うよ」と言って、社会人になって女子100メートル自由形の日本新を出し、ロンドン五輪女子400メートルメドレーリレーで銅メダルを獲得した上田春佳の話をしました。

 27歳のときにロンドン五輪女子100メートル背泳ぎの銅メダルを取った寺川綾を指導した経験もあったので、メンタル面が成熟する社会人になって伸びるという確信がありました。青木は17、18年の日本選手権で100メートル、200メートルに2連覇し、昨年の世界選手権(韓国・光州)の100メートルでは4位に入りました。

 実力がついてきて、自分から勝ちたいと思えるようになったのは、この1年くらいでしょうか。成長を待つこともコーチングには重要だと考えています。

 合宿の疲れが残る中で出場した1月11、12日の東京都新春大会で、青木は短水路日本新まで100メートルで0秒10、50メートルで0秒02に迫りました。シーズンに向けて、手応えを感じています。

(構成/本誌・堀井正明)

週刊朝日  2020年1月31日号

暮らしとモノ班 for promotion
大人のリカちゃん遊び「リカ活」が人気!ついにポージング自由自在なモデルも