報告書が出る2週間ほど前、私の事務所に広河氏から電話があった。「週刊文春の記事以来、自分が考えたことを話したい」と、スタッフに伝えたという。私は広河氏と面識はないが、もしかしたらフラワーデモなど性暴力に関する記事で、私のことを知ったのかもしれない。報告書が出るタイミングで私に電話をしてくることに、なんとなく嫌な予感が拭えず折り返しの連絡はしなかったが、いったい何を話したかったのだろう。フェミニストの私に「話を聞いてもらった」という既成事実をつくろうとしたのか。「理解してもらいたい」という甘えだったのか。どちらにしても、報告書を読み、折り返さなくて良かったと思った。なぜなら、今、広河氏は第三者の女に自分の意見を述べている場合じゃないから。

 長年にわたり多くの女性の夢や未来を、身勝手な行為で奪ってきた。女と男は被害/加害という関係だけじゃない!という心の叫びはもっともだが、それ、加害者が最も言ってはいけない言葉であることを、電話を受けなかったお詫びを込め、お伝えしたいと思う。自分の加害に、向き合ってほしい。

週刊朝日  2020年1月24日号

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