そんな夫婦生活も、夫が59歳の時に病気で亡くなり、終止符を打つことに。数カ月間は放心状態だったが、「家にいてもしょうがないじゃない」と母と妹に励まされ、旅行したり、外で飲み歩いたりと遊び回るようになった。夫に従い、子育てに専念した反動だったのかもしれない。
そんな中、61歳の時に知り合いに「店をやってくれない?」と頼まれ、スナックのママになることに。約7年間店を切り盛りした。
「店の近くに大学の運動部の寮があって、大学生たちが毎日飲みに来てね。夜中まで大学生と飲みまくってた。彼らは今、30~40歳になったけど、今でも交流があるのよ」
大学生の彼氏ができ、一緒に旅行に行ったりもしたが、肉体関係はなかったという。一方、60~70代の客からは熱心に口説かれたが、小笠原さんは見向きもしなかった。
「だって、おじさんなんか魅力的に思えない。ましてやそんな人とのセックスなんて絶対にイヤ! 男盛りのパパが最高だったし、それが記憶にしっかり残ってるからね。おっさんなんて全然お呼びじゃなかった」
そんな中、店の常連客で以前から友達だった女性から、「ママ、AV出演に興味ない?」と誘われる。
「そんなこといきなり言われたら、誰だって『は?』って思うでしょう?」
必死になって断り続けていたものの、その女性に「ランチに行こう」と誘われた先で「ルビー」の川邊さんを紹介される。その後、「今度は撮影現場に遊びに来てみない?」と言われ、好奇心から行ってみることに。
「介護ものの撮影で、若い女優さんとお年寄りの男優が出演してたの。そんなおじいさんのセックスなんて見たくないからほとんど見なかった。それに、カメラマンや音声さんなど5人くらいに囲まれてセックスするなんてありえない!」
そう言いつつも、小笠原さんが漏らした一言を、川邊さんは聞き逃さなかった。
「私ならあんなじいさんじゃなくて、若くてイケメンじゃなきゃ嫌だ」
川邊さんはすかさず、「じゃあそんな人を用意します!」と返し、あっという間に出演が決まってしまう。