私から大輔に対し、投球の上で注文することがあるとすれば「技巧派」の意味をはき違えないことかな。かつて技巧派と呼ばれる投手は緩急をつけ、相手の読みとは違う配球をして打ち取ってきた。だが、彼は違う。精密なコントロールで勝負してきたわけではないし、「かわす」「読みを外す」ではなく、ボールを動かして「打ち損じてもらう」投球スタイルで勝負することだ。かわそうとすれば、それだけ投球フォームは緩む。真ん中からボールが動いてくれれば、それでいいと思うくらい、大輔流の「技巧派」を目指してほしい。
ロッテがドラフト1位で獲得した佐々木朗希が令和の怪物と言われている。平成の怪物である大輔が、佐々木と投げ合えるまで現役を続けられたらいいね。
おそらく来年2月の春季キャンプでは大輔の元気な姿を見に行くことになるだろう。入団1年目の時には焼き肉の食べ方を指導したこともあったな。そんな昔話をしながら、野球談議に花を咲かせることができたら、うれしい。
※週刊朝日 2019年12月20日号