高裁「結審」の日、杉村社長はこれらのメールを会社のパソコンから発見した2015年7月11日の時のことを「胸をえぐられる気持ちになり、信頼できなくなった」と陳述していた。そして7月末に「雇用期間満了通知書」を女性に送り、9月1日の雇用期間の満了に至ったと経過を説明した。

 二審の判決文書は、一審判決より約20ページ多い合計103ページに上った。「録音行為、マスコミへの事実と異なる情報提供、メール作成だけでも、会社側との信頼関係を破壊する行為に終始し、かつ反省の念を示していない」ことで、雇い止めには合理的な理由があると認められた。

 さらに判決文では「一審原告自身が、マタハラが脚光を浴びているとして、記者会見を一審被告に社会的制裁を与えて自己の金銭的要求を達成するための手段と考えている」と厳しく断じている。

 判決が出た日、厚生労働省内にある記者クラブで両者とも記者会見を行った。杉村社長は、「20人規模の会社で、できる限り力を尽くし、子育て中の社員が辞めないで就業継続できるようサポートした。それをマタハラと言われて苦しかったが、判決でしっかり認められて安堵している」と心境を語った。一方の女性は「会社が作ったワナに落とされたような気持ちで、5年経った今でも暗闇から抜け出せない」と、最高裁に上告する意向を示した。

 最高裁の判断が注目される。(労働経済ジャーナリスト 小林美希)

※週刊朝日オンライン限定記事

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