──常に最先端の音楽を取り込んできたあなたですが、いかに最新の音楽をフォローしていますか?

「ラジオは全然聴かないの、というのも同じ音楽がくりかえしかかるから。多くの場合、私の音楽は子供たちが聴いている音楽に影響を受けている。私の音楽は新しい音楽ばかりではなく、同じくらい古い音楽にも影響を受けている。新作に最も影響を与えたのはポルトガルの古い伝統的なフォーク・ミュージックだから。私の音楽は過去、現在、未来からインスピレーションを得ているの」

──そもそもダンサーをめざしていたあなたは、ニューヨークで音楽の才能を発見した。もし音楽と出会わなかったら、現在もダンサーをやっていたと思いますか?

「もしもダンサーとしての収入がベターだったら続けていたと思う。お部屋代が払えたらダンスを続けていたかった。でも現代ダンスの世界にお金は全然ないの。少なくとも私がダンスをやっていた時代は。幾つかのダンス・カンパニーの一員として活動したけれど、どの仕事も収入はとても少なく常に空腹だった。そんなときダンス学校で、ミュージシャンでベース・ギターを弾くクラスメートに会ったの。彼女が声をかけてくれて、一緒に音楽をやろうと言われた。当時の私は楽器も何もできなくて、音楽の素人だった。そのころだった、自分がシンガーとして音楽をやっていけるのではないかと考え始めたのは。でもすべてのきっかけはダンスだった」

(取材・文/高野裕子)

週刊朝日  2019年11月29日号

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