NHK連続テレビ小説「ひよっこ」でおかっぱ眼鏡の大食い娘・澄子を演じ、注目を集めた松本穂香さん。以来、話題作やCMに次々と登場し、11月15日からは最新作映画「わたしは光をにぎっている」も公開と、じわじわと活躍の場を広げています。欲がないようでいて、信念は曲げずに貫いてきた若き女優の今に、作家・林真理子さんが迫ります。
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林:松本さんは、高校のときに自分で事務所の門をたたいたんですって?
松本:そうですね。自分で応募して今の事務所に入りました。
林:高校のときから女優さんになろうと思ってたんですか。
松本:はい。ちょっと変わったお仕事をしたいと思ってたんです。飽き性なので、同じサイクルの仕事は続かないと思っていて、このお仕事以外に選択肢がなかったんです。それで自分で応募して、大阪から東京に出てきました。
林:事務所に写真とかを送ったんですか。
松本:はい。写真撮って、自己PRとか書いて送りました。
林:すぐ採用になったんですか。
松本:いや、東京に行って、面接とかカメラテストとか、けっこう何段階もあって、やっと入れたという感じでした。
林:高校生のときは演劇部だったんですよね。どんなお芝居をされてたんですか。
松本:高校生が考える脚本なので、ファンタジーっぽいものが多かったです。共学だったんですけど、女子が多くて、中でもアニメオタクの子がけっこう多かったのもあって、ファンタジーばっかりでしたね。
林:高校の演劇部で培った演技力って、実践にどのぐらい役立ったんですか。演技指導の先生はいらしたんでしょう?
松本:それがいなかったんです。
林:誰に教わったんですか。
松本:部員みんなで、みんなに意見を言い合うみたいな感じでした。演じる子だけじゃなくて、小道具の子とかも芝居を見てダメ出ししたりとか。配役は、オーディション制だったんです。
林:えっ、部活にオーディションがあったんですか。
松本:はい。部活内で「配役決めるぞ」ってなると、「じゃ、オーディションしよう」となって。だからいつも同じ子に主役を取られたり、地区大会で優秀賞止まりだったりして、悔しくて泣いたこともありました。振り返るとその葛藤の時間も、けっこう大きかったのかなと思います。