就任からわずか1か月あまりで辞任に追い込まれた菅原一秀前経済産業相(57)。辞任の引き金になったのは、公設秘書が選挙区内で香典や供花を渡したとする週刊文春の報道だが、菅原氏を巡っては以前から疑惑はあった。
「菅原氏が選挙区の有権者や自民党有力政治家にメロン、カニなどを贈っていたことを最初に報道したのは週刊朝日。2009年8月に06年~07年に菅原事務所が有権者や自民党の政治家らに贈ったリストを報じている。野党だけではなく自民党内でも、『菅原さんはヤバいぞ』という声があったのに、菅さん(官房長官)が押し込んだ。懲りずに香典を渡すなんて…。辞任というより、”更迭”だよ」(自民党幹部)
公職選挙法では、議員本人に限って葬儀などに出席した際には香典の持参が認められている。
菅原氏は当初、「私自身も香典を持って行き、秘書と二重になっていた」と弁明したが、公職選挙法違反を指摘され、アウトとなった。
「秘書が有権者に香典というのは、菅原氏の事務所では当たり前でしたよ」
こう話すのは、約10年前に秘書だった40歳代の男性だ。男性は、学生時代に1年近く自民党の大臣経験者のもとでインターンをしたことがあった。菅原氏の知人の紹介で、秘書になったという。
「私が秘書になって、1か月くらいでしょうか。先輩秘書から『〇〇で葬儀があるから、喪服でこれを持って行ってくれ』と香典を手渡されました。言われた通り、菅原の秘書ですと言って香典を渡しました。衆院議員、菅原一秀と書いてありました。その後も数回、同じようなことがありました」(元秘書)
秘書になって3か月目くらいのことだった。先輩秘書からこう口止めされたという。
「秘書が有権者に香典を渡すのはダメなんだよね。他に言っちゃぁダメだよ。議員本人が香典を持って行くのはいいんだけど…」(同前)
そこで男性ははじめて、香典を持っていくことが公職選挙法に反することを知り、衝撃を受けたという。