一方、アスタキサンチンは東海大学の駅伝チームを対象とした臨床試験で、疲労軽減効果や筋肉痛の軽減効果が確認された。

 日本の健康食品といえば、「特定保健用食品(トクホ)」だろう。世界に先駆けて1991年に制度が始まった。特定の製品について健康の維持・増進に役立つ効果や安全性を国が審査し、消費者庁長官が保健用途の表示を許可し、特定保健用食品とした。「コレステロールが高め」「血糖値が気になる」など19年9月19日時点で、1068件の食品が許可を受けている。

 トクホに詳しい循環器科医の久代登志男さん(ライフ・プランニング・センター理事長/日野原記念クリニック所長)は、血圧、コレステロール、血糖に関しては「トクホは薬で行うような二重盲検試験がきちんと行われている」と話す。また、その対象となる被験者を高血圧や糖尿病と診断された“患者”ではなく、血圧や血糖値が高めの“病気ではない人”にしている点が大きいという。

「トクホのなかには“血圧が高めの人”の収縮期血圧(上の血圧)が10~15mmHg下がったものもある。米国の予防医学の研究で、血圧が高めの人の血圧を降圧薬で下げることで、高血圧の発症リスクを半分ぐらいまで下げられることが実証されています。しかも、効果は服用中止後も2年以上続きました。トクホで血圧を下げられれば、高血圧などの発症を先送りできるかもしれません」(久代さん)

 トクホを活用するポイントは二つ。一つは「生活習慣の改善が前提になること」。もう一つは「かかりつけ医の上手な利用」だ。

「広告で誤解されがちですが、トクホを摂っているから脂っこいものや甘いものをたくさん摂っても大丈夫ということはありません。また、せっかく始めた生活習慣の改善も、”何となく効果がある”では続かないでしょう。やはり、結果を知ることが大事です。血圧は家庭用血圧計で測れますが、血糖値やコレステロールはむずかしい。健康について相談でき、かつ定期的に血糖値やコレステロールの値を測定してもらえる、かかりつけ医の存在は不可欠です」(同)

 一方、最近よく目にする「機能性表示食品」はトクホとは別物。審査はなく、メーカーが安全性や機能性などの情報を国に届けるだけで、健康効果を表示できる。そのため、成分の有効性は示されていても、その成分が含まれる食品そのものの有効性は未知数だ。

 最後に、サプリや健康食品の摂取で気を付けたいことを西崎さんに聞いた。成分が重複していたり、不要なものを摂っていたり、過剰に摂っていたりするケースが多いという。

「特にマルチミネラル、マルチビタミンは重複や過剰摂取になりやすいので、注意が必要です」

(本誌・山内リカ)

週刊朝日  2019年10月25日号

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