病院に着くとすぐにレントゲン。骨折してないことを願います。妻は泣きながら両手を重ねて願っています。そして診察。「骨には異常はないようです」。そう言われ、まずホッとする。だけど、中指と薬指を扉に挟んでいる。消毒すると状況がよくわかりました。

 扉に挟まれて、爪の下の皮が数ミリ、えぐられるように剥がれている。これは痛い。本当に申し訳ないという気持ちしかない。息子をひざにのせて体をさすりながら治療してもらう。皮膚を再生するテープのようなものを貼り、その上から絆創膏(ばんそうこう)。指から血が見えなくなると、息子は落ち着き、喋るようになりました。その姿を見てようやく少しだけ落ち着けました。

 僕は普段とてもせっかちな性格です。妻に常々それを注意されていました。この日も、車に乗り込んで、ドアを先に閉めてしまった。これは明らかに僕の油断だし、直さなきゃいけない部分を直さなかったことにより起きてしまった事故。

 ネットを見ると車だけじゃなく、家の中の扉やトイレのドアに子供が指を挟んでケガ、そして切断してしまうケースも結構出てきました。改めて反省します。そして日常の中に危険は沢山(たくさん)潜んでいるのだと強く言い聞かせ、子供といる時の自分の行動を一つずつ見直します。怖い。

週刊朝日  2019年10月25日号

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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